クラシックなスレッドステムを現代的なアヘッド仕様に変更するメリットと、実際のパーツ構成を解説します。
スレッドステムをアヘッドステムに換装する、いわゆる"なんちゃってアヘッド"とも呼ばれる手法について解説します。
メリットとしては、クラシックな見た目のスレッドステムを現代的な見た目に変える"ドレスアップ"や、市場にある膨大な数の汎用パーツを装着できるようになるカスタム性、サイズアップによる剛性感のアップなどが期待できます。
ただし"なんちゃってアヘッド"の場合は部品点数が多くなりがちなので、軽量化の期待度はあまり高くありません。
変更前のクラシックなスレッドステム仕様
今回アヘッド化する自転車はFUJIのミニベロロード(シングルスピード仕様)。スレッドステムはコラム径22.2mm、ハンドルクランプ径25.4mmです。
このままではハンドル周りのパーツを変えたくても選べるパーツの候補がかなり絞られてしまうため、アヘッド化することにしました。見た目はスレッドステムのままでも全然かっこいいと思うんですが、「ブラケット位置をちょっと近づけたい」という希望すらなかなか叶わないのは流石に不便なので。
目指すサイズはコラムクランプ径28.6mm、ハンドルクランプ径31.8mm。スポーツ自転車界隈では最も一般的なサイズなので、ハンドル周りのパーツの選択肢が格段に広がります。
一般的なサイズに限ると、スレッドステム(クイルステム)のコラム(ハンドル操作の軸、フロントフォークから伸びているパイプ部分)径の多くは22.2mmです。
スレッドステムに装着できるハンドルのクランプ径(挟み込んで固定する部分の直径)はスポーツバイクであれば25.4mmや26.0mmが一般的です。
対してアヘッドステムでは、コラムのクランプ径は28.6mm(1-1/8インチ、オーバーサイズ)が標準的な規格で最もパーツ点数が多く、25.4mm(1インチ)も存在しますがほぼ絶滅危惧種と化しています。また、アヘッドステムに装着できるハンドルのクランプ径は31.8mm(オーバーサイズ)が主流です。
標準規格に対してサイズアップすることで剛性感の向上などを狙った特殊サイズ。ただし現在では"オーバーサイズ"自体が一般化しており、部位によって"オーバーサイズ"が指す具体的な数値が違っているので注意が必要です。
なお、古めの車種や一部メーカーで特殊サイズを展開している場合もあるので、自分でパーツを調達する際には必ず仕様確認と実車合わせでノギス計測をするようにしてください。
BBB BHP-20 (重量実測値:218g / 価格:約3000円)
シュレッドレスコンバーターやステムアダプターとも呼ばれます。スレッド形式のヘッドセットをアヘッド形式に変換するために使用するコラム径変換アダプターで、斜臼を持ち上げて固定する形式が一般的です。
BBB BHP-20はコラム径を22.2mmから25.4mmに拡張します。市販パーツでは22.2mmから28.6mmに直接拡張するものが一般的ですが、上面に斜臼を引き上げるM8ボルトの頭が露出するので見た目が微妙&"なんちゃって"であることが一目瞭然。トップキャップ関連のアクセサリーも使用できません。BBB BHP-20は斜臼用のM8ボルトの上にトップキャップ用のM6ボルトが刺さる構造なので一般的なトップキャップを装着可能。また、コラムの高さを最大80mmまで伸ばせるのも他にはあまり見かけない特徴です。
BHP-20は一般的なトップキャップを装着できるのが強みのひとつ。画像はSP-Connectのマウントを装着しています。
grange アヘッドステム1インチカラー (重量実測値:13g / 価格:1個数百円)
細いコラムに太いクランプ径のステムを装着するためのシムです。今回は25.4mm→28.6mmサイズを使用しました。
スレッドレスコンバーターで直接28.6mmに変換する場合は不要です。なお、今回は変更前のポジションを再現する都合でコラムの高さを80mm程度まで伸ばす必要があったため、ステムの下にできる余白を埋める目的で2個使用しました。
BBB ダウンフォース BHS-36 17° 100mm (重量実測値:152g / 価格:4000〜5000円)
アヘッド用のステムです。最も一般的なコラムクランプ径28.6mm、ハンドルクランプ径31.8mmをチョイス。元のスレッドステムと同等の17° 100mmを選択しました。シンプルデザインで黒色のものを選んでいます。
SHIMANO PRO スペーサーセット (重量実測値:26g / 価格:約1000円)
ステムを固定する高さを調整するためのスペーサーです。ステムの下の隙間を埋めることで高さを固定でき、細いコラムを隠すドレスアップ効果もあります。
GIZA PRODUCTS 幅400mm ドロップ120mm リーチ70mm (重量実測値:288g / 価格:3000〜4000円)
クランプ径31.8mmの主流サイズ。アヘッド化することでハンドル交換の作業も簡単になります。交換前のハンドルがリーチ120mmと長かったため、最近主流のショートリーチにすることでブラケット位置を近づける狙いです。
TEKTRO RL340 (重量実測値:320g / 価格:4000円前後)
アヘッド化には関係ありませんが、ポジション調整と同時に変更。シングルスピード仕様にしているバイクなので変速機能がないブレーキレバーを使用しています。SHIMANO BL-R400からの換装で、ブラケット部がしっかり大きいTEKTROに変更しました。TEKTROは手元にクイックリリースが付いているので、ホイール脱着時にクリアランスが確保しやすくなるメリットもあります。
※ネット通販ではコピー品も出回っていますが、ブレーキは命を預けるパーツなので有名メーカー品を選ぶのが安心です。
今回のパーツ合計は1030g。変更前(951g)と比較して約80gの重量化となりました。なんちゃってアヘッドなのでパーツ点数が増える分軽量化にはなりませんでしたが、軽量化を重視してパーツを選定すれば200〜300gの軽量化も不可能ではありません。
コラム径を変換していく構造
今回使用するパーツを順に重ねていき、最終的に28.6mmクランプのステムを装着します。構造は以下の通りです。
アヘッド化が完了したハンドル周り
完成すると、華奢で美しいスレッドステムが現代的でマッシブな印象のアヘッドステムに。ポジション出しも容易になり、ハンドル周りのパーツ選びが格段に楽しくなるおすすめのカスタマイズです。