自転車業界の不振は本当?
ロードバイク価格高騰と自転車離れ

近年囁かれるスポーツ自転車業界の不振や「自転車離れ」。ロードバイクの価格高騰の背景を整理し、業界の裾野を広げるための"その先"を妄想してみましょう。

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1. データが示すスポーツ自転車業界の現在地

自転車の販売台数

どうやら「自転車離れ」は単なる噂ではないようです。自転車産業振興協会がまとめている生産・輸入台数の推定値を見ると、コロナ特需期からの需要の落ち込みは明白です。

(出典:自転車産業振興協会 動態統計等に基づく推定値)

ただし、これはコロナ特需からの落ち込み幅であり、特需前から緩やかに減少を続ける"平時"に戻っただけ、という見方もできます。

ユーザー層の高齢化と若年層の参入障壁

現在、ロードバイク等のメインユーザーは40代〜60代へシフトしています。この趣味に投資できる層が市場を下支えする一方で、車体だけでなく周辺装備を含めて数十万円の初期投資が求められる現状は、若年層の新規参入を極めて困難にしています。

2. ロードバイクの価格はなぜ高騰したのか?

エントリー層を阻む価格高騰の要因は、大きく2つに分けられます。

① マクロ経済とサプライチェーンの要因

フレームやパーツの大半は海外(台湾、中国、東南アジア等)で製造されているため、近年の急激な円安が日本国内での販売価格を直接的に押し上げています。さらに、原材料費、コロナ禍以降のグローバルな物流コスト、現地工場での人件費高騰がダイレクトに価格へ転嫁されて高騰が続いています。

② 機材の複雑化・高度化

結果として、速く走るための機材の進化が価格の高騰に直結し、皮肉にもエントリー層を拒んでしまっています。

3. 【例えば】無地でシンプルなカスタムベース車戦略

高価格帯の自転車を買える層にだけ売る現在のビジネスモデルは、長期的には業界の首を絞めることになります。若年層を取り込み、再び裾野を広げるためには何が必要でしょうか。ここからは筆者の「素人の妄想」です。

シンプルで基本設計に優れた「カスタムベース車」の開発・販売

例えばシマノがこんな戦略を取ったら面白そう、というのが、基本設計は妥協せず無駄を削ぎ落として高コスパを極めたカスタムベース車の開発・販売です。

① 徹底的に削ぎ落とした「無地」のデザイン

安価なモデルにありがちな、派手なデカールや車名ロゴは一切排除します。なぜなら、安い自転車のデカロゴは恥ずかしいから。単色無地のカラーリングを採用し、「安かろう悪かろう」のイメージが定着しないように、且つおしゃれでカスタムのしがいがあるシンプルデザインに徹します。

② 汎用規格に準拠したシンプルプラットフォーム

すべての規格を標準的な規格に統一し、極限まで個性を廃して素材と基本設計に全振りしたフレームを開発、大きな規格の刷新がない限り何年も同じ型を販売します。これにより開発費を節約し、完成車価格を10万円前後に抑えます。

ベースは軽量・安価なリムブレーキ車と、高剛性でストッピングパワーに優れるディスクブレーキ車の2種類。フレーム素材は、とにかく安く始めるための「アルミ」か、長く付き合える「クロモリ」か。まぁどちらでも良いですね。

③ カスタムを前提とした「育てる」余白

最初から高価な完成状態を提供するのではなく、ユーザー自身が手を動かしてカスタムする余白を残すからこそのカスタムベース車。安価なパーツから憧れの高級パーツへと段階的にステップアップしていく過程や、規格の合うパーツを探して自分好みに組み替える体験自体が、自転車の根源的な楽しさのひとつであることを知ってもらいましょう。

利益はパーツで取る想定なので、フレームは利益度外視。長く使ってもらえるように基本設計だけにこだわります。例えばシマノ、の理由はこの「パーツで利益を取る」が出来そうだから。そしてマイナーメーカーが乱立する自転車業界でもっとも信頼のあるメーカーだから。シマノ鈴鹿ロードでカスタムベース車限定のエキシビジョンレースを開催しても面白そうですね。

近い思想の市販ロードバイク「ARTMA RYLAS」

実は、この「余計なものを削ぎ落としたカスタムベース車」という思想に極めて近い市販ロードバイクがすでに存在します。それがダイワサイクルのオリジナルブランドが展開するARTMA(アルテマ) RYLAS(ライラス)です。

信頼性の高いシマノ・Clarisを搭載したシンプルなアルミロードバイクで、無駄なギミックを配しつつも基本設計をしっかり抑え、価格も約13万円と非常に抑えられています。まさに自分でパーツをカスタムし、育てていくための理想的な「ベース車」と言えます。

ARTMA RYLAS ダイワサイクル ARTMA RYLAS(ライラス)

ただし、個人的に非常に残念なのは、フレームにブランド名のロゴがデカデカと書かれている点。これが無地だったらもっと良かったのに……と思わずにはいられません。せっかくのシンプルなフレームなので、無地であれば価格マウントのエアプから「あぁ、安いやつね」「ダイワってシティ車でしょ?」と一瞥されることも減ったはずです。

とはいえ、現状の市場で「安くて基本がしっかりしている」という思想を具現化している稀有な一台です。開発監修・詳細スペックや専門家からの高評価、ネットでの口コミなど、気になる方は詳細な紹介記事をぜひチェックしてみてください。

2026年エントリーロード比較を見る → ARTMA RYLAS 紹介記事を見る → 楽天市場で「ARTMA ライラス」を見る →

4. まとめ:安くても恥ずかしくない自転車を市場へ

要するに、高い自転車を自慢したいジジイだらけの先細りな業界構造から脱するために、安い自転車を流行らせてほしいんです。

自動二輪業界ではSR400が安いカスタムベース車としての地位を長らく守り、近年では車検の要らない250ccスーパースポーツの流行が若年層の参入を下支えしています。

ファットバイクやeバイクもいいですけど、本当に必要なのは安くて基本設計がしっかりした本物のロードバイクなんじゃないですかね。という妄想でした。